今月の主題 血管炎とその臨床
血管炎を伴う諸疾患
アレルギー性肉芽腫性血管炎
森本 幾夫
1
1慶大内科
pp.2060-2061
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216277
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はじめに
結節性動脈周囲炎(以下PN)が初めてKussmaulら1)により報告されたのは一世紀も前のことであるが,それは一つの明確な疾患単位を有するように考えられていた.しかし,同様な症例がたくさん報告されるにつれ,臨床的にも,病理学的にも古典的PNとは異なった病像をもつものがあることが明らかとなってきた.1951年ChurgとStraussら2)は,臨床的には発熱,喘息,好酸球増多,皮疹,多臓器に及ぶ致命的な多彩な病像を呈し,病理学的には全身性壊死性血管炎ならびに血管外の肉芽腫性病変(好酸球の浸潤を伴う)を伴う14例を報告し,古典的PNより分離し,これをアレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatosis and angiitis,以下AGA,別名Churg-Strauss Syndrome)と呼んだ.本疾患はPNと診断されることが多く,臨床家の本疾患に対する認識は浅く,またPNとWegener肉芽腫症との移行型あるいはLoeffler症候群とWegener肉芽腫症との移行型とみられる類縁疾患があり,また生前診断がされるのはきわめて少数とされている.
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