神経組織化学アトラス1〈正常編1〉
酸化還元酵素,フォスファターゼ
清水 信夫
1
,
堀 正治
1
,
今本 喜久子
1
1大阪大学医学部高次神経研究施設
pp.310-311
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202360
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ここでは酸化還元酵素は糖質代謝に関与するものを取りあげる。すなわちそれらの酵素はブドー糖の解糖,TCA回路,ペントース燐酸回路による代謝過程に含まれ,前二者に属するものはエネルギー獲得によつて脳の機能の発揮に重要であり,後者は核酸,脂質その他の重要物質の生合成に関与するとされる(図1)。組織化学的にはチトクローム酸化酵素を除き,すべてテトラゾリウム塩の還元発色すなわちホルマザン形成によるが,その水素は脱水素酵素自身より直接受容するものではなく,チトクローム系との間に介在するフラビン蛋白,またはCoQよりもたらされるとされる。
従来報告された各種脱水素酵素の脳内分布を整理すると次の2群に大別される(Friede)。一つはコハク酸脱水素酵素,NAD依存酵素すなわち乳酸脱水素酵素,リンゴ酸脱水素酵素,イソクエン酸脱水素酵素,NADH—ジアホラーゼ。なおコハク酸脱水素酵素はチトクローム酸化酵素とともにミトコンドリア酵素で同様の活性分布を示す。
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