正常値
血清鉄,血清銅
茂手木 皓喜
1
1東大中央検査部
pp.1584-1585
発行日 1966年11月10日
Published Date 1966/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201548
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血清中の鉄はsiderophilin(またはtransferrin)という特殊な蛋白と結合して存在するので,これを定量するにはまずこのsiderophilinから離して遊離のかたちにしたうえで種々の呈色試薬と反応させる。ふつう鉄をsiderophilinから遊離させるため塩酸を加えて加温し,ついで呈色を妨害するような血清蛋白部分を除蛋白して沈澱させ,この上澄に還元剤を加えて2価の鉄として呈色試薬に反応しやすいかたちにし,また発色のつごうのよいようなpHに修正し,最後に呈色試薬を加えて比色する。呈色試薬にはいままではo-phenanthroline,α-α′-dipyridy1などのキレート剤がもちいられていたが,最近ではbathophenanthrolineがもつとも特異性にすぐれる点で,おもにこれがもちいられているようである。微量成分なので試薬中に鉄が入らないよう,調整する水の質は十分吟味しなければならない。
銅もやはりceruloplasminという銅蛋白として存在するので,鉄の場合と同じようにまず塩酸を加えて蛋白から分離させ,トリクロル酢酸で除蛋白し,上澄のpHを調整し,還元剤を加えて還元し,これに発色試薬bathocuproinを加えて呈色,比色する。銅も鉄と同じく微量成分なので,試薬を調整する水は十分吟味しなければならないが,測定の各段階において鉄と同様,これら成分の混入がないよう十分注意しなければならない。
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