今月の主題 癌と免疫
癌免疫診断法の流れ
河合 忠
1
1自治医大臨床病理学
pp.980-981
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215944
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
ある病巣が癌であるか否かを診断する場合,多くは病理組織学的な所見に依らなければならない,しかし,常に病理組織学的に必ずしも癌と診断しうるとは限らない.病巣が採取しえない場合もあろうし,またたとえ病巣を採取しえても癌とまぎらわしい良性病変と鑑別することが困難な場合もあろう.そのようなときは臨床的に経過を観察して病変が進行性であるか,転移があらわれるかどうかによって決定しなければならないこともある.しかし,癌ほど早期診断が重要な意味をもっている疾患はないであろう.それ故,古くから尿や血液を使って癌を早期に診断しようと努力がなされてきた.しかし,現在までのところ,癌に普遍的な生化学的・免疫学的検査法がみつかっていないし,ある一つの癌をとってみても100%診断しうるという検査はない.近年,免疫学的検査法の進歩によってかなり臨床的に役立つ検査もいくつか見出されている.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.