今月の主題 臨床家のための輸血学
血球輸血
顆粒球輸血
八幡 義人
1
,
武元 良整
1
1川崎医大内科
pp.342-343
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215792
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顆粒球輸血の必要性
白血病をはじめとする造血器悪性疾患に対する化学療法は,強力な多剤併用療法が主流を占め,その効果には特記すべきものがある.急性白血病の5年生存例は1966年には7例で,1976年は178例と増加してきているが,予後を大きく左右するものは,治療中の合併症に対する管理である,とくに感染症と出血は死因のほとんどを占めており,出血に対しては血小板輸血の使用によりかなり管理できるようになった.一方,化学療法後の顆粒球の著明に減少した状態では,その期間が長ければ長いほど,致命的重症感染症を合併し,抗生剤の大量投与にも反応しにくいといわれている.
顆粒球数と感染の関係では,顆粒球1,000/μl以下で感染に対する危険度が高くなるといわれる.実際,敗血症の78%,播種性真菌感染症の90%で,顆粒球数は500/μl以下である.顆粒球数1,000/μl以上での感染死は32%,それに対して,100/μl以下での感染死は80%にも及ぶ.したがって,再生不良性貧血,無顆粒球症,急性白血病およびその化学療法後の骨髄荒廃時に伴った重症感染症では,顆粒球輸血1)(輸注)が必要となってくる.
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