今月の主題 臨床家のための輸血学
血球輸血
血小板輸血
西村 昂三
1
1聖路加国際病院小児科
pp.338-340
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215791
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血小板の分離・採取法
血小板減少に起因する出血の治療には,新鮮血小板を大量に輸注することが必要である.筆者の日常診療経験では,急性白血病や再生不良性貧血の患児が本輸注の適応となることが最も多い,新鮮血小板を大量に供給するには,従来からわが国で行われてきたように,一瓶200mlの銀行血から血小板を分離・採取する方法ではきわめてむずかしい.というのは,一人の供血者が月1回200mlの全血を供血しうるにすぎないので,同一供血者から採取しうる血小板量は,1回量のみならず,長期にわたる提供量も非常に強い制限をうけてしまうからである.
そこで,一人の供血者から,より大量の血小板を選択的に分離採取する方法が研究・開発され,現在では連続または間欠血球分離装置を用いる方法と,プラスチック・バッグを用いる方法が普及している.前者は装置ならびに毎回用いる使い捨て部品などが高価であるのに対し,後者は血液バッグのはいるローターのついた恒温遠心分離器さえあれば特殊な設備は不要で,使い捨てのバッグ類も前者にくらべはるかに安価である.また,どちらの方法で分離しても,採取した血小板の機能には差異がないので,経済性から考えてもバッグ法が優れているといえる.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.