--------------------
コレラ潜入事件始末記
海老原 進
1
1厚生省防疫課
pp.703
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202957
- 有料閲覧
- 文献概要
□突如コレラ患者発生 6月の新潟地震,7月の山陰・北陸豪雨と忙しい日々を過ごしたわれわれも,やっと夏の海に,山に,家族とともにリクリエーションの一日を過ごすこともできて,ホッとしていた一日,ちょうど8月25日の昼休み,「今までの発生時期を見返してみると,どうも8月末頃から9月,10月にかけてコレラが出ていますねえ,そろそろシーズンですね」,「冗談じゃあない,余りおどかさないで下さいよ」と内原補佐と笑いながら話しあっているところに,千葉衛研加地所長が入ってきた。
「国立習志野病院に入院していた患者がどうもコレラらしい。いま予研に検体を持って行って検討を依頼してきた」といわれる。ソレッ!!というわけで昼休みの室内は俄然色めきたった。詳報を求めて現地に電話を入れる者,情報綴りを用意する者,「緊急電話増設の申込みをしろ」という木島主任の声が鋭く尖っている。昔でいえば檣頭高く戦闘旗が掲げられ,戦闘ラッパが鳴りわたったというところであろう。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.