天地人
犬の腰
天
pp.1381
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208042
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わが家の,ことに女房の可愛がっているトーイプードルが,ある日突然悲鳴をあげて,それっきり腰が抜けてしまった.獣医院に入院して加療してもらったがなかなか埒があかない.海老の殼を食べさせるとそうなるのだという人もいたが,できすぎたシャレのようで信用する気にもなれない.可愛想だから殺してしまおうというのが女房の気持であったし,それは可愛想だというのがまわりの意見であった.
そんなある日,所用で広島へ行った.空港の待合室で,同じ紙袋を持った男の集団に逢った.臨床獣医学会と一様にかかれていたからその学会員に間違いない.思わずそのうちの数人に,わが家の犬のことを話したいと切に思った.流石にそうはしなかったが,次の2つのことを私はききたかったのである.1つはわが家の犬の腰抜けの原因はなにかということ,もう1つは,この病気は治るものか,もしくは治らない種類のものかということであった.
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