鏡下咡語
いはんや犬をや
馬場 廣太郎
1
1獨協医科大学耳鼻咽喉科
pp.1208-1209
発行日 1990年12月20日
Published Date 1990/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900216
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わが家の愛犬,柴犬の“チビ太”が死んだ。平成2年9月29日(金)のことで,教室で担当した第29回日本鼻科学会の最中であり,看取ってやることはできなかった。ほんの数分対面した亡骸は,日溜りで気持ち良さそうに,手足を伸ばして眠っている姿そのままであった。
チビ太がわが家にきたのは,今,中学3年生の息子が小学校に入学した年の秋で,悪戯ざかりの子犬であった。ぬいぐるみの犬に吠えついて恥ずかしそうにしていたのが第1日目で,たちまちにして家中が犬のトイレと化し,外に出されて以後,忠実なお庭番であった。気が荒く,吠えだしたら止まらなくなり,植木職人が入った後などは,疲れ果てて眠り込んでいた。また,持ちなれない財産(食べきれない程の骨など)があると,夜も寝ないで見張っている小心者で,飼い主によく似るものだと笑ったものであった。
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