今月の主題 慢性骨髄増殖症候群
治療
免疫療法
江崎 幸治
1
,
山田 一正
1
1名大第1内科
pp.1156-1157
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207990
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はじめに
近年,腫瘍-宿主関係において,免疫機構が重要な役割をはたしていることが知られており,腫瘍特異抗原の存在も細胞性免疫,体液性免疫の両面からの検討により,種々の腫瘍にて認められている.免疫刺激による腫瘍の縮小が多くの実験動物において知られ,臨床的にも免疫療法が広く用いられてきている.中でも急性骨髄増殖性疾患である急性骨髄性白血病(AML)に対しては,数多くの免疫学的検索や免疫療法の試みがなされてきている.免疫療法の中では,BCG,BCG-cell wallskeleton(CWS),MER(methanol extract residue)などを用いた非特異的免疫療法,放射線照射白血病細胞,Neuraminidase処理白血病細胞などを用いた特異的免疫療法あるいは両者の併用などが行われ,多くの例で寛解期間の延長,生存期問の延長が認められている1).
しかし一方,慢性骨髄増殖性疾患に対しては,免疫学的検索はほとんどなされていない.その最大の理由としては,他の悪性腫瘍と異なり,単一の腫瘍細胞を得ることがむずかしいためと考えられる.免疫療法に関しても,わずかに慢性骨髄性白血病(CML)に対するSokalらの報告2)があるのみというのが現状であり,本稿ではCMLに対する免疫療法を中心に述べる.
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