臨床講座=癌化学療法
癌免疫療法の現況—その3:固形腫瘍の免疫療法
江崎 幸治
1,2
,
岡部 健一
1,2
,
小川 一誠
1,2
Kohji EZAKI
1,2
,
Ken-ichi OKABE
1,2
,
Makoto OGAWA
1,2
1癌研究会付属病院・化学療法科
2癌研癌化学療法センター
pp.1435-1440
発行日 1981年8月10日
Published Date 1981/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217296
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
固形腫瘍における免疫学的研究は,主として悪性黒色腫について多くなされている.これは悪性黒色腫では時に自然寛解があるといわれ,なんらかの免疫の関与が考えられること,また実験面では悪性黒色腫細胞の培養系の樹立が比較的容易であり,腫瘍細胞を用いての特異的免疫反応の検索がされやすいこと,化学療法が奏効しがたいなどの理由が挙げられよう.そして急性白血病とともに免疫学的研究の対象として使用されることが多く,特異的免疫反応も陽性とする報告が多い.これら悪性黒色腫での成果をもとに各種の固形腫瘍に対して免疫療法が試みられている.
固形腫瘍の免疫療法としては,①手術後のadjuvantとして免疫療法単独で,または化学療法との併用で使用するもの,②進行癌に化学療法との併用で使用するもの,③局所免疫療法,の3つがある。本稿では以上の項目につき,比較的報告の多い悪性黒色腫,乳癌,肺癌を中心に記述する.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.