今月の主題 実地医のための臨床細菌学
注意しておきたい感染症
粟粒結核
青柳 昭雄
1
1国立療養所晴嵐荘病院
pp.1002-1005
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207947
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はじめに
粟粒結核症は血中に大量の結核菌が侵入するか少量でも頻回に血中に入り,結核菌が種々の臓器に散布されて粟粒大の散布性病巣を生ずる際に呼称される.罹患臓器としては肺,肝,髄膜,骨,関節,腎,脾,副腎,卵管,副睾丸などが好発部位であり,筋肉,心,膵,胃,甲状腺,睾丸は極めて稀である.
本症は結核の初感染を受けた個体の肺病巣よりの所属肺門リンパ節の結核病巣が,上行性に傍気管リンパ節,静脈角リンパ節に波及し,静脈角リンパ節の病変が鎖骨下静脈に穿孔して,大量の結核菌が血中に入るいわゆる早期蔓延により発症するとされ,年齢別にみれば小児の疾病であった.しかしながら,最近はツベルクリン反応が陽転してより早期に発症する早期蔓延型は極めて少数となり,成人にみられ,晩期蔓延型が多くなっている.
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