今月の主題 免疫診断法と免疫療法
免疫療法
骨髄,胎児肝・胸腺の移植
合屋 長英
1
1九大小児科
pp.836-837
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207910
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はじめに
骨髄をはじめとする幹細胞移植療法は,donorの正常機能をそなえた幹細胞を用いて,先天性あるいは続発性に欠損しているrecipientの造血機能を回復することを目的としている。骨髄移植は手技自体はむずかしいものではないが,移植幹細胞を生着させるためのrecipientの前処置,takeされても高頻度に起こるgraft-versus-host disease(GVHD)をいかにして防ぐかなど重要な問題を有している.
幹細胞および胸腺移植療法の適応疾患を表1に掲げたが,最も行われているのは骨髄移植である.すなわち,重症複合免疫不全症のほか劇症型再生不良性貧血,難治の急性白血病に試みられているが,わが国では未だ成功例がない.欧米ではすでに300例近くの骨髄移植が行われ,成功例も増加している.本稿では骨髄移植を中心にその問題点を述べ,胎児肝・胸腺移植については簡単に記す.
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