今月の主題 急性期脳卒中の臨床
治療
薬物療法—抗凝血薬,血栓溶解剤,血小板凝集抑制薬を中心に
海老原 進一郎
1
1慶大神経内科
pp.86-90
発行日 1978年1月10日
Published Date 1978/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207710
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はじめに
近年脳血栓の成立過程について,頭蓋外脳血管壁にできた血栓が末梢へ流れて塞栓となり閉塞を起こすという機序,すなわちthromboembolism説が注目されてきた1).それに対応して虚血性脳血管障害の治療薬として,まず抗凝血薬が,ついで血栓溶解剤,血小板凝集抑制薬が相次いで登場してきた.とくに最近では,欧米では血小板凝集抑制薬(アスピリン,スルフィンピラゾン)が,わが国では血栓溶解剤(ウロキナーゼ)が注目されている.したがって,われわれは,これら種々抗血栓剤を用いるにあたっては,血栓形成に関する基礎的知識抗血栓剤の作用機序,危険性などを理解しておく必要がある.本稿では1977年米国のJoint Committee for Stroke Resourcesの報告として掲載されたGentonらの綜説2)を中心に,抗血栓剤の現況を解説する.
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