今月の主題 急性期脳卒中の臨床
治療
脳血管閉塞症の手術適応—発症後早期例を中心に
小野 博久
1
1長崎大脳神経外科
pp.82-85
発行日 1978年1月10日
Published Date 1978/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207709
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はじめに
血流低下による脳組織の異常が原因となって起こる神経機能脱落症状は虚血性脳血管障害(ischemic cerebrovascular disease),または単に脳虚血症(cerebral ischemia)などとよばれる.脳虚血は①急激な低血圧や心拍出量の低下などの体循環の異常に随伴して起こる場合(起立性低血圧,Adams-Stokes症候群やその他のcardiacdysrhythmiaなど)と,②脳組織へ直接血流を供給する内頸動脈や椎骨動脈の各分枝の閉塞性病変(内腔の狭窄や完全閉塞)が原因となって起こる場合,および③この両者が共存して起こる場合の3つがある.③の場合,脳虚血症が局所的な神経症状を示すときは体循環と血管病変のどちらが病因となっているかを決定することは困難な場合があるが,②および③はいずれにしても脳血管の閉塞性病変が発症に関係しているものと考えられるので,脳血管閉塞症(occlusive cerebrovascular disease)とよばれる.通常は脳血管造影で指摘できる内径200〜300ミクロン程度以上の血管の病変(主として動脈硬化症によるもの)をいい,それ以下の細い血管の閉塞による脳虚血をも手術の対象とするものがあるが,本稿ではふれない.
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