ここにも医療あり
拘禁の壁の内側で—刑務所の医師
斉藤 祐二
1
1札幌刑務所医務部
pp.2378-2379
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207688
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今から10年余前,大学の無給医として在勤中,いわゆる無給医解消のための運動が燎原の火のように燃えあがった.ふとしたきっかけから代表に選ばれ,東京医科歯科大学での全国会議に上京する羽目となった.それ以降は長びく運動に抜き差しならぬ身となり,心身の疲労は累積し心身耗弱の状態となり,文字通り妻子を抱えて無収入となった.自宅で安静療養をしていたとき,心配してたずねてくれた先輩が,半日勤務週2回の勤務先が刑務所にあるから勤めてみてはどうかと勧めてくれた.以前から教室の先輩たちが交替で収容者の精神診療にいっていたので,その代わりにということであった.バスで1時間の距離であり,条件も健康状態に適当と思われたので勤めることになった.
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