Japanese
English
短報
拘禁精神病と考えられた1症例
A Case Supposed to be Prison Psychosis
加藤 悦史
1,2
,
杉浦 明夫
1
,
河田 晃
1
,
兼本 浩祐
2
Etsushi KATO
1,2
,
Akio SUGIURA
1
,
Akira KAWADA
1
,
Kousuke KANEMOTO
2
1岡崎医療刑務所
2愛知医科大学精神科学講座
1Okazaki Medical Prison, Okazaki, Japan
2Department of Neuropsychiatry, Aichi Medical University
キーワード:
Prison reaction
,
Prison psychosis
,
Medical prison
Keyword:
Prison reaction
,
Prison psychosis
,
Medical prison
pp.1111-1113
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101734
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はじめに
刑務所における拘禁反応にはさまざまなものがあり,19世紀半ばから主にドイツで研究が行われてきた。わが国でも戦前,戦中,戦後にかけて報告が行われ,吉益12),小木7)らいくつかの分類がある。しかしながら,DSM-ⅣやICD-10の診断分類には拘禁反応という用語はなく,最近では拘禁反応の概念自体あまり用いられない。そのため,報告例もまれである。しかし,矯正医療の現場では拘禁反応と考えられる症例は確かに存在し,その病名も使われ続けている。拘禁反応の中でも重度の精神障害に至る場合には拘禁精神病と呼ばれる1)が,今回我々は,Birnbaum2)の妄想様構想や小木7)の逃避的妄想の1つと考えられる独特の拘禁精神病を観察したので報告する。なお,症例の匿名性を保つため,論旨に影響のない範囲で改変を施し,症例報告に際し文書にて本人の同意を得ている。
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