原著
拘禁性無月経について—1.発生頻度と転帰の調査
十河 真人
1
,
末松 弘行
1
,
北川 香子
2
Mahito Sogo
1
,
Hiroyuki Suematsu
1
,
Kyoko Kitagawa
2
1東京大学医学部付属分院心療内科
2愛光女子学園
pp.553-556
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207641
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拘禁は社会心理的ストレスの中でもその典型とされる。このような拘禁状況下におかれた女性の間で無月経が惹起されることはよく知られている。今回,この拘禁性無月経について若干の調査を行ったので報告する。
1982年1月から1985年12月までは,関東地方の女子少年院に収容された14歳以上20歳未満の女性520名を対象とした。このうち511名が入所前に初経をみ,順調に月経が発来していた。少年院に収容後に「無月経」になったものは190名(37.2%)であった。収容の全期間を通じて無月経であったものは119名であった。
また,出院後の転帰の調査では,回答を寄せた22名中21名(95.5%)の者が6カ月以内に月経が再来していた。
拘禁状況下に置かれた女性では,収容施設の設備や処遇の改善された現在でもなお,かなり高率に「無月経」が起こることが再認された。
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