臨時増刊特集 診断基準とその使い方
VI.神経・筋疾患
急性期意識障害—"3・3・9度方式"による分類と診断基準
太田 富雄
1
1大阪医大脳神経外科
pp.1978-1981
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207570
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概念
意識障害を解析する場合,普通,次の3つの側面からアプローチされる(図1).すなわち,①覚醒(arousal)が可能であるか,②外的刺激に対して適切に反応(身体的)するか,③意識内容が正常であるか,の3点である.最も一般的な意識障害の型は覚醒障害で,外的刺激を加えても覚醒(一応,開眼と考えてもよい)しない場合,意識消失(loss of consciousness)または昏睡(coma)と呼ぶ.かかる意識消失患者からは意識内容の検討はできないので,外的刺激に対する反応の具合をチェックする.これに対し,診察している患者が覚醒していると,意識障害なしと判断されがちであるが,必ずしもそうでなく,適当に質問して意識内容の異常の有無を調べる必要がある.上述の中間の型,すなわち,外的刺激により覚醒し,覚醒のあと,意識内容がどうであるかをチェックしなければならない例は,臨床上非常に重要で,しかもやっかいなものである.
普通,急性意識障害という場合,前述の3要素のうち覚醒障害が前景をなすものである.意識消失または昏睡は,当然急性期意識障害例であるが,植物症のように自発的覚醒はできるが,意識内容がないか,乏しいものは慢性意識障害と呼ばれる(表1).
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