臨時増刊特集 診断基準とその使い方
V.内分泌・代謝疾患
肥満症
内藤 周幸
1
1東大第1内科
pp.1927-1929
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207555
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概念
肥満(症)とは,正常以上に全身の脂肪組織が増加した状態である.したがって,普通は脂肪組織が局所的に増加した場合はlipoma(脂肪腫)といって肥満には入れないのが一般ではあるが,脂肪腫にもほぼ全身に拡がっているlipomatosis(脂肪腫症)もあり,また一方,むしろ四肢は細くなり躯幹でもっぱら脂肪組織が増加する,いわゆる中心性肥満であるCushing病(ないし症候群)の場合も肥満に含められるので,上述の定義では必ずしも十分ではない.しかし,肥満と脂肪腫症とでは脂肪組織の増加が一様でsmoothである(前者)か,腫瘤状に凸凹している(脂肪腫症)かによって,視診により鑑別は容易である.
しかし一方,肥満を"症"すなわち疾患として捉えるか否か,また"症"とした場合,どの程度の肥満からを"症"とするかの基準は定められていない.したがって,ここでは肥満と肥満症とは同意語として取り扱っておく.
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