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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
肥満関連疾患の治療戦略
感染症のリスクとしての肥満/肥満症
Obesity as a risk factor for infectious diseases
白川 純
1
Jun SHIRAKAWA
1
1群馬大学生体調節研究所代謝疾患医科学分野
キーワード:
感染症
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
敗血症
,
S100A8
Keyword:
感染症
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
敗血症
,
S100A8
pp.1003-1008
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293101003
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延により,肥満(および肥満症)が感染症への感受性や重症化リスクの増大に関与することが改めて浮き彫りになった.肥満に関連する感染症への感受性のリスク増大は,主に自然免疫および獲得免疫の機能障害やビタミンD欠乏によるものと考えられている.さらに,呼吸機能の低下,皮膚および皮下組織の恒常性の破綻,肥満に関連する併存疾患,最適化されていない薬物療法などの要因が,感染症の発症や重症化を間接的に促進する可能性が想定されている.実際に肥満に伴い,皮膚感染症,尿路感染症,上下気道感染症,術後創部感染症などのリスクが増加することが示されているが,分子機序は不明な点が多い.一方で,内因性炎症物質が肥満/肥満症に伴う敗血症などの感染症重症化抑制に寄与していることを見出した.本稿では,肥満に伴う易感染性および感染症重症化について概説し,その一端を担う内因性炎症物質の可能性について示す.

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