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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
肥満関連疾患の治療戦略
高齢者の肥満・肥満症の管理
Management of obesity and overweight in older adults
杉本 研
1
Ken SUGIMOTO
1
1川崎医科大学総合老年医学
キーワード:
肥満パラドックス
,
サルコペニア肥満
,
カロリー制限
,
たんぱく質摂取
,
レジスタンス運動
Keyword:
肥満パラドックス
,
サルコペニア肥満
,
カロリー制限
,
たんぱく質摂取
,
レジスタンス運動
pp.991-996
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293100991
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高齢者の肥満と心血管病や死亡のリスクとの関係は明らかではないが,その一方でADL低下やサルコペニア,転倒,うつといった老年症候群と関連する.骨格筋量や筋力,身体機能が低下した肥満高齢者は特に注意が必要であり,サルコペニア肥満がその典型である.リスクの高い肥満高齢者を特定するうえでBMIは不適であり,体脂肪率や骨格筋量,筋力などにより特定することが望ましい.肥満高齢者に対する食事療法や運動療法としては,減量と同時に骨格筋量を減らさないことが重要であり,適度なカロリー制限と十分なたんぱく質摂取,有酸素運動・レジスタンス運動・バランス運動といった多成分運動が推奨されている.このことはサルコペニア肥満に対しても同様であるが,合併症を有する場合はそれを考慮した対応が必要となる.高齢者の肥満・肥満症に適した治療薬のエビデンスはまだ十分ではない.

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