臨時増刊特集 診断基準とその使い方
V.内分泌・代謝疾患
カルチノイド症候群
細田 峻
1
1愛知県がんセンター研究所第1病理部
pp.1916-1918
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207552
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概念
カルチノイド腫瘍は本来小腸由来の"良性経過をたどる未分化癌"(1907)に与えられた名称である.続いてこの腫瘍が消化管に散在する銀還元性のKultschitzky細胞と同じ銀還元性顆粒を保有することが明らかにされ,Argentaffinomaとも呼ばれた,その後類似の組織像を与える腫瘍が胃,虫垂,大腸,直腸などのみならず,気管支,卵巣にも発生することが明らかにされ,現在では,膵,胆嚢,胸腺,食道,睾丸,耳下腺,子宮,腎,膀胱,尿道,前立腺からの発生も知られている.
本腫瘍は,消化器,呼吸器,泌尿生殖器の粘膜上皮に嵌入散布されたdiffuse endocrine glandsに由来する内分泌腫瘍一般を包括するため,発生腫瘍もそれぞれの母細胞の内分泌能に応じて異なった活性物質を産生し,時に過剰症候群を発現する.
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