増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
11.副腎疾患
褐色細胞腫
佐藤 元昭
1
,
高橋 伸也
1
,
鈴木 唯司
1
Motoaki Satoh
1
1弘前大学医学部泌尿器科
pp.348-351
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902627
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1 はじめに
副腎髄質より発生する褐色細胞腫は,その過剰に産生されるカテコラミンの作用により多彩な臨床症状を呈する。臨床的には高血圧の発現が最も重要であり,代謝亢進も重なり,三徴ともいうべき頭痛,発汗過多,動悸は70〜90%の症例にみられる。高血圧は発作型と持続型がみられ,血圧正常型も5〜15%に認められ,偶発腫瘍として発見されることも多い。本症は30〜40歳代と比較的若年層に多く認められ,副腎外発生,両側発生,悪性がそれぞれ10%前後認められる。本症に甲状腺髄様癌,副甲状腺腫を合併した多発性内分泌腺腫症(MEN)2A型や,さらに粘膜神経腫などを合併したMEN 2B型が稀に認められるほか,レックリングハウゼン,フォンヒッペルリンドウ病などの合併が認められている。また,家族性発生も散見される。
特に若年者で症状が激しく,降圧剤に反応し難い高血圧患者では,常に本症を念頭に置いた診察が必要で,本症が疑われれば血中カテコラミン濃度あるいは尿中カテコラミン代謝産物を測定することで診断は比較的容易である。特に臨床症状が乏しく,血中あるいは尿中カテコラミン値が異常高値を示さない偶発腫瘍においては,メトクロプラミドなどによる誘発試験が有用である。
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