臨時増刊特集 診断基準とその使い方
V.内分泌・代謝疾患
副腎性器症候群
井林 博
1
,
赤嶺 康夫
1
1九大第3内科
pp.1908-1913
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207550
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概念
副腎性器症候群(adrenogenital syndrome)は副腎皮質cortisol生合成系酵素の先天性欠損ないし不全による両側副腎過形成または副腎腫瘍とくに副腎癌が原因となり,副腎皮質から男性ホルモン,時に女性ホルモンの分泌過剰が起こり,男児の性早熟,女児における外性器その他の男性化あるいは男性の女性化をきたす疾患群である.先天性副腎過形成に起因するものを先天性副腎性器症候群,副腎腫瘍によるものを後天性副腎性器症候群という.正常人の副腎皮質ステロイド生合成系路とその主要代謝系は図1に示すごとく,cortsol生合成の主要経路は,cholesterol→pregnenolone→progesterone→17-OH progesterone→11-deoxycortisol→cortisolであり,先天性副腎過形成はこれら各stepの酵素の欠損や不全により起こりうる.すなわち酵素の欠損によりcortisolの生合成と分泌障害があると,negative feed back機序により内因性ACTHの合成分泌亢進が起こり副腎皮質の肥大過形成を生じる.生化学的には血中ACTH,β-MSHの上昇,血中cortisolの低値および欠損部以前のステロイド前駆物質の蓄積とcortisol系以外の経路すなわちandrogens系やmineralocor ticoids系への生合成代謝shiftが起こり,これらの異常な過剰分泌をきたす.
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