臨時増刊特集 診断基準とその使い方
IV.肝・胆道・膵疾患
特発性門脈圧亢進症
杉浦 光雄
1
1東大第2外科
pp.1838-1841
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207527
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概念
門脈圧亢進症は門脈系の血流がなんらかの原因によって阻害され門脈圧亢進状態を呈することによってみられ,種々の臨床症状を総称する症候群名である.厚生省特発性門脈圧亢進症調査研究班で作成した診断の手引き(表1)では,特発性門脈圧亢進症の概念を脾腫,貧血,門脈圧亢進を示し,しかも原因となるべき肝硬変,肝外門脈・肝静脈閉塞,血液疾患,寄生虫症などを証明しえない疾患をいうとしている.診断基準からして特発性門脈圧亢進症と診断された症例の病因分科会における検討では頻度は必ずしも高くはないが,HB抗原,すなわちB型肝炎の関与は事実として認められているおり,なおウイルス性肝炎の関与が不明なもの,あるいは免疫学的機構の関与が多少推定されている症例も時にみられるが,現状では診断の手引きで示された概念から本症が逸脱するものではなく,現在もなおこの診断基準は十分用いられる段階である.
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