臨時増刊特集 診断基準とその使い方
IV.肝・胆道・膵疾患
アルコール性肝障害
山内 真義
1
,
木村 和夫
1
,
藤沢 洌
1
1慈恵医大第1内科
pp.1830-1832
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207525
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概念
常習大酒家に認められる,いわゆるアルコール性肝障害は,一般に脂肪肝,アルコール性肝炎および肝硬変症の3つの病態に分類されている.従来より,アルコール性肝硬変の前駆病変としては脂肪肝が重視され,脂肪沈着による二次的な肝細胞の変性壊死が脂肪肝から肝硬変症への橋渡しをすると考えられてきたが,実際には大酒家における脂肪肝の高頻度の発症に比して,アルコール性肝炎ないしは肝硬変の発症頻度は著しく低く,脂肪肝から重症な肝硬変症へ移行する症例はきわめて少ない.したがって,アルコール性肝硬変の前駆病変としては,脂肪肝よりもアルコール性肝炎が重要な役割を果たすことが指摘されている.
実験的アルコール性肝障害では,低蛋白食あるいは高脂肪食下にアルコールを長期投与すると脂肪肝を確実に発症させることができる1).
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