病気のはなし
アルコール性肝障害
庵 政志
1
1日本赤十字社医療センター第一消化器科
pp.202-207
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900058
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サマリー
日本でも最近のアルコール消費量の増加に伴って,アルコール性肝障害が増加している.本症の形態的特徴は,ウイルス性肝障害と異なって,主病変が小葉中心性で細胞周囲性の繊細な線維化とミトコンドリア障害にある.臨床的には,飲酒禁酒の時間的関係の強い肝以外の全身的症状と検査成績(白血球増加,電解質異常,カテコールアミン増加,高エストロゲン血症,筋由来酵素上昇など)を伴うことが,ウイルス性肝障害と異なっている.血清GOT>GPT,GLDHやm-GOT高値,γ-GTP高値などの存在が肝機能検査成績では目立つ.肝硬変なしに可逆的門脈圧亢進症状を呈しうるなどのため,一般に治療によく反応する.
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