臨時増刊特集 診断基準とその使い方
III.消化管疾患
胃切除後症候群
丹羽 寛文
1
1東大第1内科
pp.1794-1799
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207513
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はじめに
胃切除後症候群とは,胃切除後の残胃の狭小化および胃より小腸への食事の通過促進などに基づく主として機能的な障害を意味しており,その中には,ダンピング症候群,食後低血糖症候群,輸入脚症候群,さらに不定の上腹部愁訴,栄養障害などが含まれる.
しかし,この用語の定義,意味する範囲は必ずしも明確でなく,人によっては術後発生した吻合部潰瘍などの器質的病変までを含めている.筆者自身は,胃切除後症候群という場合は機能的なものに限るほうがよいと考えてはいるが,機能的な障害と器質的病変は症状の似ていることも多く,また器質的病変の診断がむずかしいこともあって,実際には器質的病変,機能的病変を含めて扱っていることが多いと思われる.
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