臨時増刊特集 診断基準とその使い方
III.消化管疾患
胃良性隆起性病変
竹本 忠良
1
,
渡辺 正俊
1
1山口大第1内科
pp.1790-1793
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207512
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はじめに
胃内腔に向かって隆起する病変として,古くから,悪性病変としてはBorrmann I型の進行胃癌,ポリープ癌,悪性ポリープ,良性病変としては胃ポリープ,胃ポリープ様病変,胃粘膜下腫瘍などという言葉が親しく使われてきた.このような隆起性の病変のなかでも,もっともしばしば愛用され,今日でも捨てがたい魅力をもったものは胃ポリープという名称である.この胃ポリープという定義をめぐって数多くの論争があったし,隆起性の病変をめぐる混乱のもとは胃ポリープという名称にあったのである.とくに,最近のように,胃の診断学が発達してくると,小さい胃ポリープまで容易にみつかるようになって,軽度な粘膜隆起と胃ポリープの境界線をどこで引くか迷う始末であり,また小さな隆起型早期胃癌との鑑別診断,あるいはポリープの癌化の問題の再検討が焦眉の問題となった.このような状況のもとに山田ら1)によって胃内に発生するすべての隆起をふくめた胃隆起性病変という名称とともに分類が提唱された.今日では,胃隆起性病変という言葉はきわめてポピュラーになっており,本号の主題の一つにもとりあげられたわけである.一方,胃ポリープあるいは胃のpolypoid lesionという名前も相変わらず臨床的に使われている2).
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