最近の外國外科
胆嚢切除後症候群,他
pp.418-419
発行日 1954年6月20日
Published Date 1954/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201462
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V. Trappoli,J.Cella"Annals of Surgery"Vol.137,1953.胆嚢切除術後の症候群の原因は
1)胆嚢内に存在する水分吸收機能の欠損に依る輸胆管の膨脹,
2)交感神経,副交感神経の異常刺戟に依り生ずるOddi氏括約筋の痙攣
3)肝の腹側表面に生ずる十二指腸の癒着及び胆管の瘢痕性短縮
4)輸胆管の障碍を受けた壁中の神経の纖維束包括等である.
胆嚢切断々端に於て同様に切断された交感神経は増殖する纖維組織に平行して神経腫様小結節を形成し,傷痕組織の周りの神経幹は神経纖維を伸すか又は傷痕組織を括約するらしく,それが切除後の症候群の惹起に関係がある様に思われる.Mooreは肝動脈,胆嚢動脈に随伴する痛覚神経が存在する事を証明し,これが刺激されると上腹部の疼痛が現れ,迷走神経纖維の刺戟,消化障碍と嘔気,嘔吐を来す.此の症候群は多くの原因に依る事が明らかにされ神経腫予防のため神経幹を輸胆管の中間部から,又痛覚神経纖維を動脈から分離しなければならない事が叫ばれ,これ等の事が全症例に行われゝば胆嚢切除術後の症候群は減少するものと思われる.
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