今月の主題 消化・吸収の基礎と臨床
吸収不良症候群
胃切除術後吸収不良症候群
渡部 洋三
1
1順大消化器外科
pp.657-659
発行日 1978年5月10日
Published Date 1978/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207867
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はじめに
消化・吸収の面における胃の役割は,摂取された食物を胃液とよく混和し,これを粥状にして少量ずつ小腸に送り込むことである.したがって,胃は消化・吸収の面ではあくまでも脇役で,摂取食物を細かくして小腸における消化酵素の作用面積を大きくし,消化を効率のよいものにしている.胃の消化・吸収の面におけるもう一つの大きな役割としては,鉄とビタミンB12の吸収がある.すなわち,胃液中の塩酸は食物中の鉄をイオン化して吸収しやすくし,また胃壁に存在する内因子はビタミンB12の吸収にとって不可欠である.胃切除術はこのような胃の役割をがらりと変えてしまう.胃切除術後吸収不良症候群はsecondary malabsorptionの一つであるが,これを病態生理学的な面より捉え,その予防あるいは治療について述べる.
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