今月の主題 高血圧の問題点と最近の治療
高血圧の病態
アルドステロンと高血圧
福地 總逸
1
1福島医大・第3内科
pp.1370-1371
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207392
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
アルドステロンは副腎皮質から分泌されてのち,腎尿細管に作用してNaを貯留し,Kと水素イオンを尿中に排泄する作用を有している.それゆえ,アルドステロン分泌過剰では,体内に水およびNaの貯留をきたし,低K血性アルカローシスとなる.アルドステロン分泌は,レニン・アンジオテンシン系,ACTH,血清Kの上昇またはNaの低下によって増加するが,健常人では主にレニン・アンジオテンシンによって調節されている.そこで生体の水・電解質代謝の調節は,主としてレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系によって行われており,各種の体液分布の異常を伴う疾患においてRAA系が変化する.
高血圧症では体液分布の異常を伴うので,高血圧の病因にRAA系がなんらかの関連を有するのではないかとの考えが生ずる.しかし,実際にアルドステロンを測定してみると,アルドステロン分泌過剰が高血圧発症の原因となっているのは,原発性アルドステロン症を除くと,きわめて稀である.しかし最近,radioimmunoassayの発達により血漿レニン活性の測定が簡単に行われるようになったので,高血圧症のルーチンの臨床検査に利用され,高血圧の鑑別や,治療法の指針の決定に用いられている.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.