今月の主題 浮腫と臨床
内分泌・代謝性浮腫
栄養障害性浮腫
阿部 達夫
1
,
井口 利樹
2
1東邦大第2内科
2東邦大内科
pp.1262-1263
発行日 1977年9月10日
Published Date 1977/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207359
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はじめに
栄養障害性浮腫は一次性,すなわち食事性と,二次性,すなわち続発性に分類される.前者に属するものとしては,脚気や飢餓浮腫などがその代表的なもので,後者としては悪性腫瘍,重症消耗性疾患,吸収不良症候群,蛋白喪失性胃腸症などに伴う浮腫があげられる.本稿では一次性の栄養障害性浮腫についてのみ述べることとする.
脚気はかつてわが国においては一大国民病であり,大正12年には年間約27,000人の死者を出したほどで,最も普遍的な疾患の一つであった.したがって,心臓病あるいは腎臓病などがなくて浮腫を認めた場合には,まず脚気を考えるのが常識というほどであった.しかし,脚気がビタミンB1の欠乏によって起こり,B1によって治癒し,かつ予防できることがわかると急速に減少して,最近ではわが国では脚気はほとんど忘れられた疾患となっていた.
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