増刊号 診断基準とその使い方
IX.腎・尿路
5.特発性浮腫
長瀬 光昌
1
1帝京大学医学部・第1内科
pp.2137
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222025
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■概念
現在では特発性浮腫についての明確な定義というものはみあたらないが,内外の諸家により提唱されているものの共通点をあげて1つの案としたい.しかし元来,特発性浮腫とはその名の示すごとく,浮腫を呈する既存の疾患を除外した浮腫状態,体重増加状態をよぶ傾向にある.したがって,この状態の原因,機序が解明されるにしたがって,1つの疾患単位として"特発性浮腫"とよばれる群より離れていく可能性も含んでいるわけである.現在では,おおむね次のような特徴的臨床所見を有する.
1)初経〜閉経の間の女性にみられる.
2)浮腫(体重増加)が周期的(cyclic)に出現するが,この周期は特異的なものでなく,月経周期とは関係ない.
3)しばしば感情的,精神的不安を示す.
4)浮腫の原因となる他の疾患が否定できる.
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