特集 日常診療に潜む「処方カスケード」—その症状、薬のせいではないですか?
【各論】
❼浮腫—見逃しが多い薬剤性浮腫
松山 拓
1
,
矢吹 拓
1
1独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センター 内科
キーワード:
薬剤性浮腫
,
末梢性浮腫
,
血管性浮腫
,
カルシウムチャネル阻害薬
Keyword:
薬剤性浮腫
,
末梢性浮腫
,
血管性浮腫
,
カルシウムチャネル阻害薬
pp.1213-1215
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203969
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浮腫は間質液量の増加により生じる腫脹のことである。外来受診患者において、頻度の高い症状の1つであり、生命予後には直結しないかもしれないが、QOLを低下させる要因となりうる。浮腫の代表的な原因として、局所の炎症による血管透過性亢進や、心臓・腎臓・肝臓・甲状腺疾患などによるものと共に、薬剤性浮腫も考慮する。多くの薬剤がさまざまな機序で浮腫を引き起こすことが知られているが、実際には薬剤性浮腫と気づかれず、安易に対症療法的な利尿薬処方がなされ、処方カスケードの一因となることも知られている。たとえばカナダの人口ベースのコホート研究1)においても、カルシウムチャネル拮抗薬を新規に処方された患者が浮腫を引き起こし、ループ利尿薬が処方される頻度は、他の降圧薬と比べて60%以上高くなったと報告されている。
薬剤の減量、変更、または中止により、浮腫の改善が見込まれる可能性もあるため、浮腫の原因として薬剤性浮腫の可能性を検討し、適切に評価することが重要である。
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