今月の主題 浮腫と臨床
浮腫—現代の問題点
関 清
1
1東邦大第3内科
pp.1210-1211
発行日 1977年9月10日
Published Date 1977/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207338
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浮腫の成因に関して
浮腫の際,組織間隙内に貯留した水分は血漿由来であるから,その発生には血管壁を通っての水の出入,すなわち血管壁を中心としてその内外の水分分布を司る機構と,体内水分量を増加させる機構とが関係することになろう.いわゆる局所性因子と全身性因子で,その理論はそれぞれの分担執筆者により解説されるごとく,動物実験ではかなり明瞭になっているように思われ,最近では驚くべき複雑,精密なシミュレーションモデルまで出されている.ただ,問題は実際の浮腫性疾患において,多数の因子のうち,いずれが主役であるか,あるいはいずれが一次的役割を果たしているかで,これは案外明らかではない.まず両者は密接に相関していて,一方の変化は他方に影響し,できあがった臨床像は一見あまり差がみられないことが多いし,また全身性因子は別としても,局所性因子は血漿膠浸圧を除いて臨床的測定が一般に容易でないからであろう.
急性糸球体腎炎の浮腫には,Allenの"Kidney"にもあるごとく,血管透過性の亢進が関係するだろうとされ,特有な浮腫の分布と性状とがその理由にあげられている.しかしこれについてのはっきりした証明はないようである.
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