疾患合併と薬剤
うつ病患者に降圧剤を使うとき
石川 中
1
1東大心療内科
pp.1040-1041
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207291
- 有料閲覧
- 文献概要
仮面うつ病と高血圧
うつ病と高血圧が合併することは,頻度としては多くないが,時としてこの両者が合併することがある.うつ病と高血圧が合併したときに,うつ病と高血圧が別の原因からきているのか,あるいは相関関係があるのかということが問題になる.一般に,はじめ高血圧であった患者がのちにうつ病に罹患するということはあり得る.この場合には,高血圧とうつ病は,お互いに直接関係はない.しかしながら,うつ病の一つの身体症状として,高血圧を示す場合がある.このような場合を,われわれは仮面うつ病といっている.すなわち,本来はうつ病であるにもかかわらず,症状としては精神症状が目立たずに身体症状が目立っといううつ病である.
ここで仮面うつ病が示す身体症状について若干説明する必要がある.元来,うつ病という精神病は精神的,心理的な原因によって発症するというよりは,身体的な原因,ことに代謝の低下という要因によって発症すると考えるべき疾患である.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.