薬の反省
降圧剤
増山 善明
1
1東大・吉利内科
pp.1110-1112
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201415
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
二次性高血圧の鑑別と高血圧の重症度判定が必要
高血圧の治療を行なう前にまず患者の正しい診断と評価とが必要である。その第1は二次性高血圧の鑑別である。とくに30歳以下の若年者の高血圧や家族性素因の少ないものでは注意しなければならない。腎性・内分泌性・心脈管性・神経性を分けるが,外科的治療の対象となりうる高血圧と慢性腎疾患が含まれる。その第2は脳・心・腎・眼底などの重要臓器の血管障害の程度と病変の進行の速さについての診断である。これには①血圧値とくに最小血圧,②眼底所見(Keith-WagenerおよびScheie分類),③心臓所見(レ線上の心拡大,心電図所見,心不全の程度),④腎障害(PSP15分値,血中尿素窒素.尿沈渣所見),⑤脳血管障害(既往の卒中発作.神経学的所見,頭痛など)の5つの因子について障害度を決め,全体の重症度を見ることが必要である。
高血圧患者に降圧剤治療を行なうことにはこんにちほとんど異論がない。しかし初診時血圧がかなり高い場合でも,適当な鎮静剤(Phenobarbital,Chlordiazepoxideなど)の投与のみで診察をかさねて経過をみるだけで血圧が正常域近くまで下降する場合もかなりある。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.