今月の主題 高血圧の問題点と最近の治療
声
降圧剤による長期治療について
山本 智英
1
1岸和田徳洲会病院
pp.1417
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207408
- 有料閲覧
- 文献概要
降圧剤のorphan drug
「orphan drug」は耳馴れない言葉である.これは適応症が稀なため開発,治験,市販が行われにくい薬剤を意味する.とくに最近のごとく消費者意識の亢進と,これら薬剤の発売許可に関与する関係官庁の保守保身的な体質およびメーカーの利益見込みの少ないことなどがorphan drugの市販を妨げている.降圧剤のうちorphan drugとしては褐色細胞腫に対する経口投与可能なαブロッカーであるphenoxybenzamine,手術不可能なクッシング症候群や副腎癌に対するO, p′DDDやamino glutethimide,高血圧性脳症や悪性高血圧症の速やかな血圧コントロールに用いられるdiazoxide,同様の目的で使用されているニトロプルシドソーダ(一級ないし特級試薬から静注用に調製することは可能であるが,一般医家にとって煩わしい)の静注用製剤,解離性大動脈瘤に対してPalmerらにより推奨されている降圧剤であるtrimethaphan(Arfonad®)などがある.これらの薬剤は治験例が諸外国ですでに知られているだけに,適応症を目前にするとき残念でならない.少なくとも,外国でその成果が広く認められ市販されている薬剤に対する発売許可の条件を緩和するなり,あるいは国費による開発,治験に対する補助を増大させ発売までの過程を促進するなどの配慮が必要と思われる.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.