今月の主題 DICとその周辺
DICのみられる内科疾患
呼吸器病
長谷川 淳
1
1北大第1内科
pp.836-837
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207235
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呼吸器疾患におけるDICの合併頻度
呼吸器疾患にどのような頻度でDICが合併するのか,現在まだ明確ではない.昭和49年度の日本病理剖検輯報から,第1剖検診断名が呼吸器疾患であり,肺ないし他の臓器の出血,血栓,梗塞,ないし出血性素因,DICなどの記載のあった症例を全国大学病院の剖検症例(11,262症例)から抽出してみた(表1).10呼吸器疾患の症例数は1,141症例で全体の10.1%を占め,上記の種々の病態を合併した症例は272症例で1,141症例の23.8%に当たり,昭和48年度の22.5%に類似していた.DICと明確に記載されていたのは1症例のみであったが,微小血栓の存在症例,出血性素因の存在症例中には生前DICの病態を呈した症例もあったのではないかと推定される.また肺塞栓症,肺梗塞症を第1剖検病名に記載していたのは13症例であったが,他の基礎疾患の合併症として記載されていたのは199症例であり,DICは肺塞栓症の3症例,出血性素因の合併は18症例であった(表1).
肺癌におけるDICの発症頻度は対照とした胃癌の発症頻度より低く,肺塞栓・梗塞症ではより高率であることを示している表1の成績は,肺疾患でもDICの病態を示す症例があるので,経過を追った検索が必要であることを示唆している成績と考えられる.
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