今月の主題 DICとその周辺
DICのみられる内科疾患
糖尿病
阿部 恒男
1
1東医歯大第2内科
pp.838-840
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207236
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はじめに
糖尿病(以下DM)とは,インスリン作用不足による糖質,脂質の代謝異常と特徴的な細小血管症をきたす疾患である.近年,糖尿病治療の進歩に伴って血糖のコントロールは容易になってきたが,一方,網膜症や腎症に代表されるmicroangiopathy,ならびに心筋梗塞,脳血栓症に代表されるmacroangiopathyの発生進展が患者の予後を左右するので,臨床上きわめて重要な課題になっている.
DMは,血小板機能を含めて血液凝固能亢進と低線溶能の傾向にあることが指摘されており,これらの病態生理像がDMの血管障害の発生ないしは進展因子になっているのではないかとの報告も少なくない.また,いわゆるDICに陥ったと思われる症例報告も散見されるので,DMの一っの病態生理学的特徴とも考えられる血液凝固線溶系の態度について述べ,血管内凝固との関連性についても触れてみたい.
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