今月の主題 DICとその周辺
血管内凝固の成因
フィブリノゲンとFDP
高木 皇輝
1
,
河合 忠
1
1自治医大臨床病理
pp.807-809
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207223
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フィブリノゲンの構造と主な性状
フィブリノゲンは血液凝固第I因子とも呼ばれ,血液凝固に関与してトロンビンによりフィブリンに転換する.フィブリノゲンは主として肝臓で生成され,正常成人血漿中には,200〜400mg/dlの割合で含まれ,生物学的半減期は4〜6日である.フィブリノゲンは分子量約340,000で図1で示すごとき分子構造をもっていると考えられている.3対のポリペプチド鎖,合計6本のポリペプチド鎖からなる化学的2量体(A)α2(B)β2γ2であり,それぞれ多くの鎖間および鎖内S-S結合により分子を形成している.構成サブユニットの分子量はそれぞれAα約70,000とBβ約60,000γ約50,000でN末端側が互いに近接している.Aα鎖が最も外殻に存在するらしく,最も早く蛋白分解酵素により分解される.
血漿フィブリノゲンは急性相反応物質の一つとして脳血管障害,心筋梗塞,悪性腫瘍,妊娠,ネフローゼ症候群,炎症などの疾患で増加して生体への外的侵襲,感染などに対する生体防御反応の一端を担っていると考えられる.また,血漿フィブリノゲンの減少または欠如があると,重篤な出血傾向を合併し,重症肝障害による合成低下でみられるほか,線溶亢進,DICなどでも消費亢進のため減少する.
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