今月の主題 内分泌疾患診断の進歩
診断のすすめ方
副腎髄質
山田 律爾
1,2
1獨協医大中央検査科
2獨協医大代謝科
pp.506-507
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207150
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はじめに
副腎髄質からは主としてアドレナリンが分泌され,交感神経からはノルアドレナリンが分泌される.副腎髄質の機能が低下しても,交感神経系が代償する.したがって,副腎髄質では機能低下症は臨床上は問題とならない.事実,多くの剖検例で筆者らが副腎皮質と同様に髄質の萎縮と思われるような所見を組織学的に見ても,臨床所見ではとくに異常を思わせるものがない.
副腎髄質の疾患は機能亢進が臨床上問題となる.すなわち,カテコラミン(ノルアドレナリン,アドレナリン)を多量に分泌する褐色細胞腫(重クロム酸で染色すると褐色になるので,こう命名されている)が重要となる、褐色細胞腫は明治44年に2剖検例が報告されて以後,大正には報告はなく,昭和17年に1例,昭和25年に1例しか発表されていなかった.褐色細胞腫の報告が急増したのは,筆者が日本で初めて24時間尿中カテコラミンを測定し,禍色細胞腫を診断して以後である1,2).
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