診断基準とその使い方
胆道感染症
岩村 健一郎
1
1東海大第3内科
pp.248-251
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207079
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概念
胆道感染症を臨床的にとらえるきっかけとなるのは,胆嚢炎あるいは胆管炎という意味で炎症症状がひき起こされたときに,十二脂腸液採取により,B胆汁中に細菌を検出することにあると考えてよい.健常人のB胆汁中に細菌が証明されることがあり,逆に胆嚢炎患者の胆嚢内胆汁に細菌がみとめられないことがある,このようなことからchemical cholecystitis(Andrews,1935)という考えが示されるに至り,起炎物質として膵液酵素あるいは胆汁酸がとりあげられ,さらに胆汁酸代謝への細菌の関与という観点から,胆道感染症における細菌感染の意義が検討され,今日に至っている.細菌感染の意義が一次的なものであるにせよ,二次的なものであるにせよ,これに胆汁流出障害,胆道の組織障害,全身性防禦力低下などの条件が加わって,胆道感染症が発症する.
胆道感染症において検出される細菌は主として大腸菌,連鎖球菌,ブドウ球菌であり,それよりも頻度は少ないがプロテウス菌,腸球菌,サルモネラ菌群である.淋菌あるいは梅毒スピロヘータは極めて稀である.結核性胆嚢炎(Gaucher,1870)もまた報告されている.高齢の糖尿病にしばしばみられる好気性あるいは嫌気性ガス産生菌の感染(Sarmiento,1966)による気腫性胆嚢炎(Weichand Flexner,1896)が報告されている:感染経路については表1に総括する.
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