臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
VII.血液・造血器疾患の診断技術
2.骨髄生検
肥後 理
1
1杏林大第2内科
pp.1745-1749
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206889
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骨髄の生検というと,従来より行われてきた骨髄穿刺吸引法も一種の生検法ではあるが,穿刺法では吸引された骨髄の細胞をみるのが目的であり,本項で述べられる骨髄生検とは,骨髄を細胞学的に観察するというよりも組織学的に観察しようということである.本来,骨髄は細胞髄のほかに脂肪織,細網細胞,細網線維,血管および骨梁などよりなっており,一つの組織を構成している.一般に骨髄の状態を観察しようとするときには,細胞所見のみの観察-骨髄穿刺で十分であるが,drytapといわれる骨髄吸引不能例では全く骨髄の状態を知ることはできなかった.さらに吸引された細胞が少ないような場合,それが手技不良によるものか,低形成を意味するのか,あるいは骨髄内の線維化を意味するのかなども知りえなかった.そこで1957年頃より,骨髄を組織学的に観察しようとする試みが行われ,そのための生検法が種々考案され,この方面の研究も多くなってきた.われわれも骨髄生検針を考案して,1963年以来種々の血液疾患に骨髄生検を行ってきた.本項では,われわれの生検法を中心にして,方法および所見について述べることにする.
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