臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
VII.血液・造血器疾患の診断技術
3.リンパ節穿刺
天木 一太
1
1日大第1内科
pp.1750-1752
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206890
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リンパ節はいろいろの原因によって腫脹し,反応性のもの,腫瘍性のものに2大別されるが,腫瘍性のものの中には原発性のもの,転移性のものがあり,一方また,腫瘍性とも反応性とも決定しにくいものもある.そのおよその診断は臨床的にも可能であるが,確診はもっぱら病理組織学的診断に頼っている.しかしながら,リンパ節腫脹性疾患は非常に種類が多く,組織像上の所見がすべて明らかな特徴を持っているわけではないから,組織学的診断も万能ではなく,しばしば決定的診断に到達しない.その不確実さは組織標本における細胞学的所見の不足によっているのである.そこで組織所見を補うものとして細胞学的診断が役立つ.
リンパ球は細胞形態学的に著しく変貌する細胞である.リンパ球にはT cellとB cellとがあり,抗原に対して芽球化現象を起こし,小リンパ球は数十倍も大形の芽球化細胞になりうる.そして,腫瘍化した場合も小リンパ球様から大形芽球化細胞様まできわめて幅の広い特徴ある細胞形態を示す.腫瘍になっても細胞はT cell,B cellの特徴をある程度まで保持している.そして,それらはそれぞれ臨床的にも特色があるので,それらの決定は望ましいことである.
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