今月の主題 リンパ組織の基礎と臨床
リンパ組織の主な病気
表面マーカーよりみたリンパ性白血病—とくに成人T細胞性白血病について
内山 卓
1
,
佐川 公矯
1
,
高月 清
1
,
淀井 淳司
2
1京大第1内科
2京大代謝研
pp.1244-1246
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206737
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リンパ性白血病は従来から細胞形態学,細胞化学の所見に臨床成績を合わせて,たぶんに経験的な面から分類され,それに基づいて治療,予後の判定が行われてきた.しかし,最近になり,マウスを中心とした実験病理学の分野で,リンパ球が発生,分化,抗原性,表面マーカー,機能の面で異なるT,B2つのsubpopulationに大別されることが明らかとなり,ヒトにおいてもこの成果を踏まえて,各種疾患の本態解明,免疫機構の解析が進んでいる.従来より,その分類に議論の多かったリンパ網内系増殖性疾患においても,これらT,B cell markerを用いて腫瘍細胞の表面形質,機能,起源を分析し,これを基に再分類,臨床所見との対比よりの再検討が行われ,いくつかの新しい知見が報告されている.たとえば悪性リンパ腫ではLukes1),Lennert2)らがT,B cellの腫瘍化の観点より新しい分類を提唱しており,また,Hairy cell leukemia3〜5)やHodgkin cell6)の性格も明らかとなりつつある.
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