今月の主題 内科疾患としての先天性代謝異常
高血圧をみたとき
診断のすすめ方
吉永 馨
1
1東北大第2内科
pp.924-925
発行日 1976年7月10日
Published Date 1976/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206636
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先天性代謝異常で高血圧をきたすものは副腎の酵素異常である.これに二つの種類がある.一つは11-β-hydroxylase欠乏症であり,他は17-α-hydroxylase欠乏症である.これらはいずれもcortisol-副腎の最も大切な糖質コルチコイドの合成に必要な酵素である.
このほかにも,高血圧を症状の一つとする先天性代謝異常があることはある.一例をあげればFabry病である.本症はα-galactosidaseの先天的欠損症で,cerarnide trihexosideと呼ぶ一種の糖脂質が網内系や血管内皮に蓄積し,発熱や関節痛,血管腫や腎不全をきたす.腎不全の結果として高血圧を呈することがある.このように,高血圧はあまり重要な意義を有しない.故に,ここでは上記副腎のhydroxylase欠乏症のみを取り上げて論じることとする.
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