開業医学入門 転医について・2
入院を要しない場合
柴田 一郎
pp.862-865
発行日 1976年6月10日
Published Date 1976/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206621
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検査の依頼と他科受診
前回は入院という形の転医について述べたが,今回は原則として外来ですむ形の転医について考えてみたい.一口に紹介転医といっても,一時的に精密検査を依頼するために紹介して,データをもらってくることを目的とする場合がある.この場合は,一般診療所にはない器具を使って検査するとか,器具はあっても特定の判定能力を要するものなどについて検査を依頼し,それによって診断を確定することが目的である.この場合,1度だけ依頼すればいいものと定期的に依頼する必要のあるものとがある.もうひとつの転医の形は,こちらの専門外,ないし能力外の疾患が疑われる場合で,その疾患については,先方にお願いしてまかせてしまう形をとる.最近は老人医療の無料化に伴って,老人の受診が激増してきたが,本来老人というものは単一疾病のみということはほとんどなく,数科にわたる多くの疾患を持っているものが多いので,後者の形をとることが多くなってきた.
たとえば白内障は眼科に紹介し,骨粗鬆症は整形外科に頼み,虚血性心疾患と糖尿病は当方で治療するといった形のものである.
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